2009年 第09回チャペルアワー
●洛西愛育園 園長 高木 恵子先生(京都保専非常勤講師)
●テーマ:「小さな子どもの大きな使命」
●内容:
障害という言葉は、施設に通う子ども達のご両親にとって心地よいものではなく、つらく厳しいもの。また、子ども達全体を障害という言葉でくくる。それは固定的であり、まるでらく印を押されたようである。それに対して、「制約」という言葉は、状況によって変わる要素を持っている。愛育園には、3歳から6歳までの「制約を持つ子ども達」が通ってくる。
愛育園の保護者の多くが「子どもが歩けません」「靴がはけません」「あれができません、これができません・・・」と、「〜できない」と言われる。
発達では、歩けないならつかまり歩きが出来る、つかまり歩きが出来ないならハイハイが出来る、ハイハイが出来ないなら寝返りが出来きる、という考え方がある。できないものを見るのではなく、できることを見つけるように、私たちは視点を変える必要がある。
愛育園には、1350人の方々が訪れ、その一人ひとり障害観を持っている、障害観は人によって様々である。愛育園の子ども達と関わった人はその障害観が変る。制約を持った子どもたちが普通に生きていることが我々を感動させる。彼らは私たちに自分を大切に生きることを教えてくれる。彼らに接することによって、自分の考え方・感じ方が固められ貧弱になっていたことに気づかされる。私たちは、知らず知らずのうちに、遅いより早い、低いより高い、少ないより多く、小さいより大きい、出来ないより出来る、追いつきたい、早く行きたいと考えているからである。
制約を持った子ども達は、今あるもの、今持っているもので一生懸命に生きている。一瞬一瞬を満足して生きているので「生き生き」している。彼らはセルフチャレンジをする心地よさを知っている。幸せを感じる心、喜びを見つける能力、人を励ます能力、存在そのものが人を励ます。この小さな子どもたちがこんな大きな力を持っている。小さな子ども達が、こんな「大きな使命」を持っていることに気づかされる。
私は、こんな素敵な彼らと人生を一緒に歩いていることを嬉しく誇りを持っている。この子達が持っている大きな使命が果たせるようにほんの少しお手伝いしたいと考えている。
3日間のチャレンジ体験で愛育園を訪れた中学校2年生の心に響く感動的な作文の紹介があり、最後に、「いと小さき子らに、いと弱き方々に寄り添い導かれつつ、いつの間にかしみついてしまった真実でない考え方、安易な考え方にとらわれることなく心豊かな人生を歩んでください。」というメッセージがあった。