映画「ハルフウェイ」
岩井俊二という人がおりまして…
1990年代のバンドブームの頃に多くのPVを手がけ、その後は映画監督として多くの作品を生み出し、「岩井美学」とまで言われる美しい映像を撮られる映像作家さんです。
東京少年というバンドが好きで、そのPVを監督されていたのをきっかけに、岩井さんの映画を見るようになりました。最近は映画監督されてないなぁと思っていたら、プロデューサとしての活動が増えておられたようで。この年末年始に、その中からハルフウェイというおかしな(!)タイトルのDVDを見ました。
高校3年生の、受験と恋愛をネタにした映画です(こんなまとめ方すると軽すぎますが…)。見てまず思ったのは「まるでセカイ系だな…」だったのですが、個人的には(普通の映画から考えると)無謀なカメラワーク、編集、そしてエンディングはとても楽しめました。主演の北乃きいと岡田将生をはじめとしたアドリブの応酬もほかではなかなか見られないし、それがリアルさにもなっています。…と、まぁ、こういう「特徴」が一部では酷評されているようですが…(汗)。実際、好き嫌いは大きく分かれる作品だと思います。
なぜ京都ほせんのブログでこんな話をしているか、ですが…。
岡田くん演じる「シュウ」は早稲田大学を目指します。一方、北乃さん演じる「ヒロ」は札幌福祉大学(架空)を目指します(ここが話の大きな筋につながる)。北海道には、学校名だけですぐにわかるような福祉系の大学はないようで、架空の大学を設定したようですが、なんにしても主演のヒロは福祉系を目指しているということは間違いないかと。
過去にチェッカーズ(古っ!)や映画「スイングガールズ」が流行ると吹奏楽部にサックス希望者が殺到したように、映画やテレビなどの影響力ってすごいんですよね(去年もなにやらあったが、ここでは触れないことにしよう…)。もしこの「ハルフウェイ」がヒットして、続編なんかがテレビドラマ化さたりしたら、北乃きいが福祉を学ぶ、という場面がお茶の間に流れたかも知れない、ということなんですよ。
残念ながら、この「ハルフウェイ」はそれほどの興行成績はあげていませんし、見る人に判断を委ねたエンディング以降の続編は予定されていないようです。それでも、脚本・監督の北川悦吏子さんは「ヒロ」の設定として福祉を目指させたし、北乃さんは「ヒロ」を演じる上で「福祉を目指す18歳」を考えていたのではないかと。
設定上のちょっとした小さな部分ですが、それでも「福祉大学を目指す」という言葉が作品中に出てきたのは、正直うれしいなぁ、と思いながら2009年最後の映画を楽しみました。